05_オリエンが9割
広告制作では、企画が決まって制作準備が進む中で、変更が余儀なくされたり、仮編集のチェックで方針を変えたり、などはよくある話かと思います。
前田もたまにあります。その都度、オリエンの精度をもっと高めておくべきだった…と反省します。小さな違和感はそのときに解決しておくべきものです。
「オリエンが9割」とは、クライアントから情報量を増やすことではなく、9割まで精度を高めるということです。アウトプットの細部までわかっているプロデューサーであれば、オリエンに対してどんなアウトプットになるのか、どの道筋なら繋げられるのか、これを脳内PDCAを回しながら、情報を整理することができるはずです。
ポイントは2つ。
1つはなるべく自社で忖度なく、当事者としてPDCAを繰り返し、自分ごとにして考え尽くすと疑問が見えてくるはずです。考え抜いて出したロジックがもし違ったら、臆さずに質問や議論を重ねることで、精度がぐんぐん上がっていきます。
もう1つは、ギリギリまでアイデアの話をしないことです。だれもが表現の話になるとワクワクしたり、ものごとを伝えやすく感じますが、オリエンの途中で企画や演出の話をしすぎると、意識や目的が逸れてしまいます。あくまでオリエンの目的は情報の精度を上げることであって、その場で解決するものではないと思っています。アイデアは口には出さず、ぐっと堪えて相手の意見を引き出すことが重要です。
サッカーに例えると(とくに詳しくないですが、笑)敵の戦略が見えない序盤は、可能な限りボールを持ち続ける。ある程度まで戦略や実力が見えてきたら、パスを出せる相手を見定めて、絶対外さないストライカーにシュートを決めてもらう、みたいな。そして、パスの出し方もある意味オリエンなのです。正確にパスを出さないと、シュートを外してしまうのです。プロデューサーから各クリエイティブスタッフへ正確なオリエンができないと試合運びがうまくいかないのです。逆に分かりにくく、なりました?(笑)
オリエンが9割、それならば残りの1割は何か?
それはクリエイティブでしかできない、クリエイティブのジャンプアップです。そのジャンプ力が強ければ、こちらの想定を超える美しいゴールが生まれる。1割どころか結果9割にもなりえる。むしろなりたい。目指すべきはそこなんです。オリエンを完璧に具現化することがベストではなく、完成までの長い道のりで、お互いの理解度が高まれば、想定やロジックを超えるクリエイティブを生み出せる。それが一番の楽しみになる。「クリエイティブが9割」を目指すための、土台づくり「オリエンが9割」という考え方です。
(ピザも仕込みが9割です)
Posted :